研修担当者へのアドバイス@

研修担当者の皆さん今日は。毎日のお仕事お疲れさまです。
現在民間企業においては、成果主義・行動主義に則り、懸命な経営努力をしており、その成果の一つは、株式市場に見ることができます。株式市場の一部上場企業33業種をよくみると、勝ち組み企業と負け組み企業の差が歴然としてきているのも事実です。
こうした中で、研修担当者である皆さんへの会社が期待するものは、業績主義に直結したものが多くなってきていることと思います。そこで、皆さんは、経営方針に基づき、業績の向上に資する、効果の上がる研修計画を企画立案するにことになるわけです。その際、限られた研修予算の中で、創造力を発揮し、創意工夫することに御苦労なさっていることと拝察いたします。
実際には、研修ごとに企画立案の決裁を得てから、プログラムを作成し、実施日時・講師を決め、会場を手配するなどの多岐に亘る業務をこなされているわけです。ただ研修に参加する受講者には、皆さんが研修を実施するまでに、準備にどれほど時間をかけ苦労したかは分かりません。ですから、研修を実施することは手間のかかる地味な仕事と言えます。そして、やっとのことで研修案内を受講対象者の職場に出し、一段落します。

ところで、皆さんはその後のことを、お考えになったことがおありでしょうか。
職場では、上司が部下を呼んで研修案内を手渡し、研修に参加するよう指示します。
そこまではよいのですが、問題はその後です。研修受講者は、多かれ少なかれ期待と不安をもって研修に参加するわけです。研修前日、研修受講者が、上司に研修に参加する旨を伝えます。その時果たして上司は、部下を動機づけ、激励し、期待していることを言葉に出して研修に送り出しているでしょうか。答えは否(いな)です。それよりも上司の関心は、部下が研修に参加することで、仕事に支障が出ないかに向いているのです。これでは研修受講者は、安心して研修に専念できるわけがありません。これは講師の私が受講者から常に耳にすることであり、"これでいいのかな"といつも問題意識をもっているところです。
さて、研修が終了し、受講者が職場に戻って、上司に報告します。その時上司は、どの程度部下の話を聴いているでしょうか。研修で何を得たか、その成果を今後の仕事にどのように生かすかなどについて、部下とじっくり話し合っているでしょうか。実際は上司も仕事が忙しいこともあって、場合によっては「ご苦労さん」の一言で終わってしまうこともあるのです。しかしこの時は、部下指導の絶好の機会なのです。それを生かさないということは、勿体無いことではありませんか。極端な場合、ただ研修に参加したというだけで終わってしまうのです。残念ながら、これが職場の実態なのです。
従って、研修所管箇所は、日頃から職場の管理者に対し、研修がなぜ必要かについての、理解・納得を得、協力をしてもらう啓蒙活動が必要になってきます。これをしないと、研修を計画し、実施しただけということになります。つまり、チェック(反省)の機能が働いていないのです。これを"やりっぱなし"と言います。

そこで、研修担当の方に提案したいのは、研修修了者に研修成果を職場で生かすための「目標計画書(自己宣言)」を作成させるということです。様式の名称・書式は特に決まったものはなく、研修所管箇所がフォローし易いものを作成すれば良いと考えます。ただし、「目標の3原則」(何を、いつまでに、どのようにやるか)の項目は、盛り込む必要があります。研修によっては、自己啓発目標(国家資格の取得など)も入れると、なお良いでしょう。
そして、これを受講者に、研修終了後1週間以内に作成させ、1部は上司に、もう1部は研修所管箇所に提出させます。その上で、スタッフ部門である研修所管箇所は、職場の管理者と一体になって、研修修了者の3ヵ月後あるいは6ヵ月後、定期的にフォローをすることをお勧めします。
なお、このことは、事前に受講者に伝えておく必要があります。そうすれば、担当業務に問題意識をもって研修に参加することが期待でき、研修に対する取り組み姿勢が違ってくるからです。

ところで、研修終了後一定期間を経た時点で、研修修了者が、当初立てた目標どおり計画が進んでいなければ、上司が相談にのって指導・援助していくことになります。これが、OJT(部下の指導・育成)の絶好の機会になるのです。是非、試してみて下さい。

最後になりますが、 "やりっぱなし"は、いけません。仕事は、管理のサイクル(PDCA)をきちんと回すことが重要であり、そうでなければ現状維持で終わってしまい、進歩・発展はあり得ません。これは、研修業務にも言えることで、反省し創意工夫することで、スパイラルアップを図ることができるのです。
皆さんのご健闘をお祈りします。頑張って下さい。

以上、研修効果を上げるポイントを、私の体験から書いてみました。ご参考にしていただければ幸いです。

人材教育研究所 所長  末木 譲


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